その後、ナカさんはエキストラやアルバイトの仕事をしながら京王八王子駅前で携帯灰皿やワンピース16巻(ナカさんは自分が気に入ったものを人にあげる癖があるそうです。)を無料で配ったり詩を書いたりしだします。
その頃にナカさんのテレビ出演を決まります。
当時、ネプチューンやクリームシチュー、土田晃之などボキャブラ世代と言われた人気芸人が出演していた『銭形金太郎』という番組にナカさんも貧乏人として出演します。
2000年前半に放送されていた『銭形金太郎』は貧乏な人を紹介するという番組で芸人と貧困生活を送る人達の掛け合いが視聴者にウケて当時はとても人気の番組でした。
ナカさんのところにやって来たのは今やテレビでは見ない日は無いぐらい活躍されているクリームシチューの上田慎也さん。
当時は海砂利水魚というコンビ名でした。
撮影中に上田さんはナカさんに詩を書いてくれと頼みます。
快く引き受けたナカさんは得意げに詩を書き上げます。
上田さんはその詩を受け取るとナカさんの目の前で破り捨てました。
驚きと怒りに満ちたナカさんは上田さんを殴りました。
その後、上田さんから謝罪を受け。
「ごめんね。ナカくん。でもお笑いとしては1番面白いのはアレだから。』と
ナカさんはその時に上田さんの笑いにかける情熱が人とは違うと思い、上田さんが絶対に芸能界で売れる人だと思ったそうです。
そんな生活を続けていた折にナカさんに事件が起きます。
パチスロ屋でアルバイト(アルバイトの中で1番続いたと言っていました。)をしていたナカさん。先輩に当時関東を中心に猛勢を奮っていたブラックエンペラーという暴走族あがりの先輩がいて、よく暴力を振るわれていました。
ナカさんはこのままでは殺されると思いJINROの瓶でその男を動けなくなるまで殴り、ナカさんは警察に捕まり留置所に拘留。
しかし、ナカさんは留置所での生活は楽しかったと語っています。
同部屋で供になったのは強盗殺人犯、麻薬中毒者、空き巣。
同じような境遇だからか?彼らはよくナカさんに喋りかけてくれたようです。
相手が刑事告訴しなかった為か、ナカさんは1か月の拘留で釈放。
拘留中に同部屋の人から『被害者から報復されるから逃げた方が良い。』
と言われナカさんの報復からの逃亡生活が始まります。
留置所で同部屋だった人の勧めもあり宮城県仙台市へと逃げたナカさん。
仙台でのホームレス生活をはじめます。
ホームレス生活をしながら、路上で自作の詩を売る日々。
ある日、ナカさんに家出少年と家出少女が近づくようになります。
少女は17歳で腕にはリストカットの傷が多数あり、売春で生活をしていました。(ナカさんには、『ホームレスとはやらない!!』と言い手を出させませんでした。)
少年の方は15歳で身体中に暴力を受けたような青アザがあり家庭内DVの被害者だろうとの事。
とはいえ、ナカさんは、2人に関してヤボだろうと思い詳しく踏み入って話を聞こうとはしませんでした。
元来、面倒見の良い性格のナカさんは詩が売れて大金が入った日は2人を食事に連れて行ったそうです。
2人もナカさんによく懐いていたそうです。
しかし、突如その生活が終わりを告げます。
2人の面倒を見るのが嫌になったのか?終わりの無い不毛なホームレス生活に嫌気がさしたのか分かりませんが…。
ナカさんは夜中に多くの車が行き交う高速道路を裸足で歩いていました。(その時の記憶は無いそうです。)
もちろん、警察に保護され実家に連絡されて、ナカさんの3年にも及ぶ長いホームレス生活が終わりを告げます。
一緒に生活していた少年と少女の2人に関しては連絡先も知らないので、その後どうなったのか知らないとの事。
『とてもすまない事をした…。』
と語っていました。
その後、実家に戻ったナカさんはグループホームの仕事を始めて無事に社会復帰します。
そこで10歳歳下の生涯の友達ができました。
理由は【デリバリーヘルスを教えてくれたから】だとか…。デリヘルという言葉を知らなかったナカさん。
その事については友人に深く感謝していました。
今でも2人で風俗やスロットで遊んでいるそうです。
最初の彼女と別れる原因になった【敬語】も彼のおかげであまり言わなくなったそうです。
ナカさんが破産した原因は風俗とスロットなどのギャンブル。
風俗は週3日通っていたと言っていました。毎日通いたいとも言っていました。
そんな無計画で自堕落な男なので破産したのも頷けます。
ただ、彼の人生訓において【人生は楽しむもの!自分達は人間の身体を借りてこの世に遊びに来ているんだ!】と語っていました。
なので借金作ろうが破産しようがめげません。
戦時中なら非国民として叩きのめされていたでしょうね。
以上が自分がナカさん本人に聞いたナカさんの人生物語でした。
長い時間お付き合いありがとうございました。
(あとがき)
ちょうどナカさん達の50歳前の年齢の方達世代は、日本の高度経済成長のバブルが弾けオイルショックの煽りも受けて超就職氷河期と言われた大学卒業者でも就職率50%台という新卒社員が2人に1人しか社員として企業に受からない時代。
アルバイトや派遣社員として生活してきて貯金もなく結婚も出来ず。ただ自堕落に生活しているナカさんみたいな人が多くいるのかもと思うと少し考えさせられました。
画像の題名を『見えなくて。』と名付けたのは人の気持ちがわからない(見えない)ナカさんがついにはホームレスになり自分の気持ちまでも見えなくなってしまう様がとてもリアルに思えたからです。
この話がおもしかったらスターお願いします🙇♀️